2008/07/22

他者理解

「ひとりの人間が,他のひとりの人間について十全に理解するというのは果たして可能なことなのだろうか.つまり,誰かのことを知ろうと長い時間をかけて,真剣に努力をかさねて,その結果我々はその相手の本質にどの程度まで近づくことができるのだろうか.我々は我々がよく知っていると思いこんでいる相手について,本当に何か大事なことを知っているのだろうか.」(村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」)

他者もまた自己なのだと思う.

真なる「他者」なんて存在しない.自らが勝手に思いこんでいる「他者」のみが存在する.
それは,自らに都合のいいように設定される.結局,「自己」も「他者」も自らの内において生成されているに過ぎない.

しかし,自らが思う「他者」像が思いもかけぬ行動をしたとき,「自己」は傷つき,怒り,不快に思う,他方で喜び,驚き,感動する.

おそらく「理解」するなんてあり得ない.

「未知」なる存在といかに向き合っていくか,ということが大事なのだと思う.

2008/07/08

Work No.850